世界史ときどき語学のち旅

歴史と言語を予習して旅に出る記録。西安からイスタンブールまで陸路で旅したい。

乳利用・牧畜・遊牧についての本のメモ

2025年のゴールデンウィーク旅では、カザフスタンのスーパーで多種多様な乳製品を見かけて食べて/飲んでみたり、博物館で遊牧民の生活道具を見たりして、乳利用や遊牧・牧畜に興味が湧きました。 ということで、旅行後に関連する本を何冊か読んだので、この記事に本の感想などをまとめておきます。

旅そのものについてのまとめはこちら

amber-hist-lang-travel.hatenablog.com

乳利用について

人とミルクの1万年(岩波ジュニア新書)

  • 著者 : 平田昌弘
  • 出版社 : 岩波書店
  • 出版年 : 2014
  • ISBN : 978-4-00-500790-5

www.iwanami.co.jp

ユーラシア各地の牧畜民を訪ねフィールドワークを行ってきた著者が、専門書「ユーラシア乳文化論」を執筆した後、同様の題材でより一般向けに書いたのがこちらの本です[「あとがき」より]。 タイトルからすると、約1万年の乳利用の歴史を過去から現在まで眺めた本のようにも見えますが、歴史の話よりは、現在の世界各地に見られる多様な乳利用のあり方を紹介する部分が多めです。

1章で乳利用が人類史においてどのような意義があるのかを述べた上で、2章で搾乳の開始時期についての考古学的議論と、ミルクの科学を概説します。その上で、3章から6章でユーラシアの4地域(西アジア、南アジア、北アジア、ヨーロッパ)でのミルクの利用を紹介し比較しています。7章では乳利用がそれまで行われてこなかった地域に着目し、乳利用が行われてきた地域との比較から乳利用を促した要因について論じています。以上を踏まえて、8章ではユーラシアでの乳利用の発展の歴史について、著者の説を述べています。

本書で特に興味深かったのは、p.47で紹介されている次の視点です:

  • 乳加工においては、ある乳製品がまた別の乳製品の原料になる、といった連鎖が見られる。これを「乳加工体系」と呼ぶ。(e.g.)ミルクを乳酸発酵でヨーグルトに→ヨーグルトを振盪してバターとバターミルクに分離→バターは加熱して水を飛ばしバターオイルに、バターミルクは加熱凝固脱水でチーズに、という具合。
  • 乳加工体系は、最初のステップに応じて、いくつかに分類できる。最初にヨーグルトにするか、クリームを分離するか、凝固剤で固めるか、熱で濃縮するか、など。

この考え方に基づき、3章~6章の各章では各地の乳加工体系が模式図で簡潔かつ分かりやすく表現・分類されています[p.54~p.55図3-1など]。 加えて、「ミルク」「スキムミルク」「バターミルク」「バターオイル」などの用語にも事前に定義が与えられています[p.33表2-1]。 これらのおかげで、ある乳製品がまた別の乳製品の原料になる、といった連鎖が可視化されて文章だけの場合より遥かに分かりやすくなり、多様な乳文化の比較や体系的な理解につながったと思います*1

また、3章~6章で紹介された4つの地域はそれぞれ、高温・乾燥、高温・湿潤、低温・乾燥、低温・湿潤とちょうど気候の性質が異なる4地域となっており、気候の違いが乳利用の違いに及ぼした影響を見ることができ、対比が興味深かったです。

ただし、内容に濃淡はあります。たとえばヨーロッパでは乳加工系列の話はあまり出てこず、もっぱら熟成チーズに焦点を当てています。(一方で、バターの話はほぼ出てこない。)

また、乳加工の発展の歴史についての記述は、やや議論が粗く感じられました。というのも、本書の内容は全体的には現在見られる乳加工体系に主眼を置いており、それらは乳加工の発展の歴史を論じるのは論拠として弱いと感じられるからです*2。この点については、過去の乳加工そのものが分かる文献史料や、考古学的知見などをあわせて補強すると説得力が増すように思われます(がしかし、紙幅の都合もあるので致し方ないと思います。2章で乳利用の起源を論じるときは考古学的な話もありましたが、p.190では文献研究についても言及されているので、恐らく著者の専門書「ユーラシア乳文化論」にはこのへんの内容も詳しく書かれているのではないかと考えています。)

ミルクの歴史

  • 著者 : ハンナ・ヴェルテン
  • 訳者 : 堤理華
  • 出版社 : 原書房
  • 出版年 : 2014
  • ISBN: 978-4-562-05061-1

www.harashobo.co.jp

文化史の本を多数出している原書房*3の「「食」の図書館」シリーズの1冊です。

タイトルは「人とミルクの1万年」と似た趣旨に思えますが、以下の2点で前掲書とは異なります。

  • 「人とミルクの1万年」が主に乳加工に焦点を当てていたのに対し、こちらは飲用の生乳の扱いが大きいです。
  • 扱う地域や時代に偏りがあります。本書では近現代のアメリカ合衆国とイギリスが主な舞台です*4

一応、1, 2章では世界各地のミルクや乳加工[p.29]の話題も扱っているものの、かなり駆け足に触れるだけ。また、5章で現代のミルク事情について触れる過程で東アジアも出てきますが、やはり主な焦点は英米をはじめとした西欧圏です。

本書の主な話題*5は、近代(19世紀以後)のミルクが抱えていた危険性(3章)と、それを克服してきた歴史(4章)かと思います。たとえば、

  • 混ぜ物 : ミルクの量や質をごまかすために、様々なものが混ぜられていた。水(衛生的とは限らない)で薄めたり、それをごまかすために小麦粉やでんぷん、チョークを入れたり、果ては「泡立ちをよくするために」動物の脳まで入れていた[p.80]。イギリスでは1901年の法律(「牛乳には少なくとも3パーセントの乳脂肪分と8.5%の無脂乳固形分が含まれていなければならない」と規定したもの)の制定を機に下火になった[p.81]。
  • 衛生面 : 牛舎が不衛生[p.75, p.83]だったことに加え、輸送時も冷却されず雑菌が繁殖する[p.84]、蓋のない桶に入れられて街を運ばれる際にごみが混入する[p.86]などなど。この問題に対し、19世紀末から20世紀初めにかけて、2つのアプローチが取られた: 1つは認証(酪農場や輸送・保存手段が衛生的であるかを検査し合格したものに認証を与えるしくみ)[p.106, p.110]、もう1つは低温殺菌[p.111]である。最終的には低温殺菌が優勢となった。たとえば、アメリカでは1940年代までにほとんどの州で、低温殺菌を義務付ける法律ができたp115)。

乳加工の話がほとんどなく、舞台も英米が主だったので、今回の一連の読書の目的に沿うものではありませんでしたが、我々が現在スーパーなどで買っている安全な牛乳が決して当たり前のものではなく、どのような経緯を経て実現したかを垣間見れるという意味では、興味深かったです。

ちなみに同シリーズに「ヨーグルトの歴史」「チーズの歴史」などもあったのですが、目次をぱらぱら眺めた感じだとこちらも欧州に主眼が置かれているようなので、今回は読みませんでした。

ユーラシア乳文化論

  • 著者 : 平田昌弘
  • 出版社 : 岩波書店
  • 出版年 : 2013
  • ISBN : 978-4-00-025417-5

www.iwanami.co.jp

上記の「人とミルクの1万年」の元となっている本です。こちらはお値段1万円近く、記述もかっちりしており、専門家向けの研究書という位置づけかと思います。

さすがに通読はせず、興味のある個所(主に中央アジアを扱った5章あたり)を拾い読みしました。 というのも、「人とミルクの1万年」の方には中央アジアはあまり扱われていなかったためです。

ひとまず、今回の旅で気になったカザフスタンの乳加工文化については、ざっくり言うとモンゴルのものと類似しているようでした。具体的には、(1)馬乳 : 乳酸発酵で馬乳酒にする。(2)牛乳 : 静置してクリームを分離し、残ったスキムミルクからはチーズを、クリームからは加熱によりバターオイル、または攪拌によりバターを得る[p.192]。ただし、地域によっては別タイプの乳加工体系もあるとのこと(レンネットなどの凝固剤を利用したチーズ作りや、乳酸発酵させてからチャーニングによりバターを得るなど。)。

また、近現代の中央アジアでの搾乳動物の変遷の話も興味深かったです : 具体的には、カザフスタンでは、20世紀にヒツジ・ヤギからの搾乳が見られなくなり、牛(元来はメインの家畜ではなかった)からの搾乳が主になった、という話です[p.206-p.207]。フィールドワークで得た描像がそのまま前近代にあてはまるわけではない、というのは要注意ですね。

最後に、上の「人とミルクの1万年」の箇所で触れた通り、乳加工の歴史の記述の根拠が気になって、本書の対応する箇所(第8章 「ユーラシア大陸における乳文化の一元二極化」仮説の提起)も見てみました。議論の主要部分はやはり現代のフィールドワークからの知見に基づいているようですが、の4節「仮説検証への試み」[p.405-p.407]では(まだ研究の途上という書きぶりながら)、前近代の文献の調査や、その記載に基づく再現実験についても触れられており、非常に好奇心を掻き立てられました。具体的には、「本草綱目」や「斉民要術」に記載された乳加工を再現して乳加工体系の図にまとめたり、はては古代メソポタミアの粘土板やヴェーダ文献の記述なども今後の課題として挙げられていました。 これはめちゃくちゃ興味をそそられます。本書の出版は10年以上前なので、その後の進展なども気になるところ。

牧畜について

遊牧民、はじめました(光文社新書)

  • 著者 : 相馬拓也
  • 出版社 : 光文社
  • 出版年 : 2024
  • ISBN : 978-4-334-10423-8

books.kobunsha.com

モンゴルでの遊牧民のくらしを、著者のフィールドワーク体験を中心に紹介した本です。 馬の背に揺られて3日間も続く季節移動、肉と乳製品中心の食生活、濃密な人間関係、はてはトイレ事情などなど、実体験ならではの豊富なエピソードにぐいぐいページが進みます。また、なんと本文中の写真はカラーで掲載されています(巻頭ではなく本文中の写真です。)。

...と、当たり障りのない部分から紹介を始めましたが、本書を読み始めてまず面食らったのが、冒頭から始まるモンゴルの人々に対するdisり。 といっても、基本的にはどれも著者の過酷な実体験に基づくもの。 その詳細なエピソードの数々は本書(特に1章)を見ていただくとして、ここでは袖の部分の紹介に「ときに草原を馬で駆け、(中略)ときに遊牧民たちにどつかれる日々」とあることだけ触れておきましょう*6。 ちなみにそんな著者も、「おわりに」を次のような文章で締めています「かつては言えなかったモンゴル遊牧民への感謝の気持ちを、素直にここで記しておきたいと思います。モンゴルの大草原よ、これほどまでの機会を与えてくれて、ありがとう!」。

話題を元に戻すと、著者はモンゴルの人々のこれらの荒っぽさ(婉曲表現)を、過酷な環境に求めています: 「遊牧という暮らしの成立には、他社への複雑な配慮や思考を発展させるわけにはいかなかったのだ」[p.67]「草原に暮らし、遊牧民を続けるということは、ある意味では人であることを部分的に捨てることも要求される。動物的感性や、物理的パワーがコミュニティで尊ばれたように、それは現代のモンゴル遊牧民にも色濃く残された強者感でもあるからだ。」[p.67-p.68]

どれほど過酷かというと、

  • 遊牧民の暮らしは肉体労働。運動量を測定したところ、夏のある1日の49歳の女性の例で、歩数が約3.8万歩、消費カロリーは約4700kcalにも達したとか[p.134]。
  • 冬場の冷え込みは厳しく、日中でも-20℃(地域によっては-40℃も珍しくない)[p.163]。そんな中夜は畜糞燃料で暖を取るも、朝は寒さで午前4時には目が覚める*7
  • 野生動物の襲撃もあるそう。子供が一人で歩いていたら狼に後をつけられていたり[p.245]、狼の群れに一晩で数百頭の家畜が殺されることも(中国の事例ですが)あったり[p.243]。また、著者の滞在中に村に狼が現れ、人々が銃や斧を手に飛び出す一幕もあったそう[p.245]。

などなど。ただし、このへんの説明に私は完全には首肯できていないです。遊牧だから、というよりは、前近代的要素(肉体的な能力の重要性が高い、公的制度が頼りにならない、など)が残る社会では似たり寄ったりなのでは?という気がしています。完全に伝聞ですが、インドとか昭和の日本とか。。。

また、もう1点印象に残ったのが、モンゴルにおける遊牧の非一様性です。

  • モンゴル最西部はカザフ人が多い[p.90]。カザフ人はモンゴル人とは言語(カザフ語)も宗教(イスラーム教)も異なる[p.90]し、遊牧の様態も異なる。具体的には、カザフ系の人々の移動が2回/年である[p.94]のに対し、モンゴル系の人々の場合は約7回/年p.68。移動頻度の低さ故、キイズ・ウイ(カザフの天幕)の方がゲルよりも大きく、居住性も高いとか[p.94]。
  • モンゴル西部の調査地ではラクダは駄獣として少数飼育され、搾乳や食肉としての利用は積極的には行われていなかった[p.289]。対して、南部の沙漠地域ではより多数のラクダが飼育され、搾乳[p.310]や食肉としての利用[p.312]が行われている*8

なお、本書は一般向けのものかと思いますが、同著者によるより本格的な書籍もあります

草原の掟 : 西部モンゴル遊牧社会における生存戦略エスノグラフィ www.nakanishiya.co.jp

目でみる牧畜世界

  • 著者 : シンジルト(編)
  • 出版社 : 風響社
  • 出版年 : 2022
  • ISBN : 978-4-89489-310-8

www.fukyo.co.jp

科研費の成果の1つとして、著者らの研究をまとめた本。 というとお固そうなイメージですが、大判にカラー写真がメインの構成となっており、ぱらぱらめくって眺めるだけでも世界の様々な地域の牧畜の様子を知ることができて面白いです。

個人的にはあまり知らなかったヒマラヤ[p.74]やアンデス[p.86]などの高地での牧畜の話や、干上がったアラル海跡地でラクダの牧畜が行われている[p.62]話が印象的でした。 あとは、ブータンの例で「他の牧民の放牧地で放牧を行うことはルール違反だとみなされる」[p.75]という記述があり、このへんの牧畜民と土地の私有(というより権利関係?)が気になりました*9

ただ、あくまで著者らの研究成果を1冊の本にまとめたものなので、世界各地の牧畜を満遍なく体系的に概観しているわけではないかと思います(あくまで著者らが実際に訪れて調査したところが中心。)。 また、副題にもあるように、牧畜社会から社会における「共生」を考えるような観念的な議論もところどろこにありましたが、それらの箇所は読んでいません。

遊牧・移牧・定牧

  • 著者 : 稲村哲也
  • 出版社 : ナカニシヤ出版
  • 出版年 : 2014
  • ISBN : 978-4-7795-0848-6

www.nakanishiya.co.jp

世界各地の牧畜社会で長年にわたって*10フィールドワークを行ってきた著者が、フィールドワークの思い出から、各地の牧畜の様相、はてはそれらを踏まえて牧畜の類型論などについて論じた本です。 扱う調査地は副題にもある通り、モンゴル、チベット、ヒマラヤ、アンデス(ということで、西南アジアは範囲外ですね。)。 1章~9章で各地でのフィールドワークについて述べ、10章と11章はそれらを踏まえた一般論などになっています。 なお、私は全部をきちんと通読したわけではなく、割と斜め読みです(特に類型論を扱った10章)。また、11章は読んでいません。 また、以下に書く紹介は私の印象に残った話が中心ですが、情報量が多い本でここでは言及できていない点も多いです。

幅広い地域をカバーしているため、本書のフィールドワーク部分を(斜め読みながら)読むと、各地の環境に適応した生業の姿と、それ故の牧畜社会の多様性を感じられます(p.331-p.337にまとめがあります。)。

  • 家畜の種類が多種多様([p.336 表10-2]): モンゴル北部のタイガ地帯ではトナカイが中心[p.54]、アンデスではリャマとアルパカ[p.336]、ヒマラヤやラダックでは地域にもよりますがヤクやゾー(雄)/ゾモ(雌)(ヤクとウシの雑種)、などなど。話が逸れるのですが、ヤクは寒さに強く暑さに弱い、牛は寒さに弱く暑さに弱い、ゾー/ゾモはその中間だそうで、放牧する標高や移動の時期が異なるのは興味深かったです[p.162, p.157-p.158]。
  • 家畜の利用方法もいろいろだったり環境を反映してたり : たいていの地域では搾乳を行うものの、アンデスではリャマ・アルパカからは搾乳は行わない[p.269-p.270, p.273]。常に気温が氷点下の地域/季節では食肉は何もしなくても冷凍で保存される[p.62]。アンデスではアルパカは毛、リャマは運搬力が利用され[p.270]、特に後者は収穫期の農民の収穫物の移動を行う代わりに農作物を得たりもする[p.273-p.274]。

加えて、だいぶさらっと書かれていますが、フィールドワークの生き生きとした描写も印象に残りました。

  • まず、調査地にたどりつくまでも大変なことが多々 : 馬に乗って遊牧民幕営地を探すもなかなか見つからず夕闇が迫ったり[p.61]、ヒマラヤの調査地では村まで道路が通っておらず山道を徒歩で歩いたり[p.204-p.205]、アンデスの標高4700mもの高原でバスが故障して道中で一夜を明かすはめになったり[p.250]。
  • 加えて、現地の人伝に調査地を見つけて調査を行う過程も垣間見れました : 祭りで怪我した女性を介抱したらその人の夫が副村長(なお副村長含めて村人は酔っぱらってて看病できず)で、さらに調査をお願いしようとした牧民の息子の洗礼親がこの副村長で...というご縁で調査のOKをいただいたり[p.254-p.255]。

文化人類学って体力もコミュニケーション力(それも論理云々とかよりは仲良し力)が必要なんだなー、とひしひしと感じました。私の知ってる研究とだいぶ違って面白いです*11

本書の最後の方では「移動」に着目して牧畜の類型論について論じており、これまで読んだ内容を整理/分類するのに有益ですが、ちょーっと納得いっていない箇所もあります。

  • まず、「遊牧」と「移牧」の明瞭な線引きは難しいと認めつつ[p.316]、上下移動の性質が強いものを移牧/水平移動の性質が強いものを遊牧[p.319]と、(あくまで分類ではなく、類型として)定義しています。(ここは異論ないです。)
  • その上で、著者が調査したアンデスでの牧畜について、「移動は行うものの移動の水平距離も標高差も極めて小さく、移動前後での気候や生態系にほぼ変化がない。この意味で、遊牧や移牧と移動の意味が異なる。」(私のざっくりした要約)[p.266-p.268,p.322]として「定牧」という類型を導入しています。

で、アンデスの「定牧」について、調査例が少ない(著者自身のものも含めて2地区だけ)ため、これだけで新しい類型を設定するには数が足りないかなー、というのが正直な印象です。 もちろん、仮設提起だと受け取れば妥当かとは思うのですが、論証とまでは言えないかなーと感じました。

ちょっと引っかかるところも書いてしまいましたが、フィールドワーク部分だけでもかなり貴重かつ興味深いものだと思うので、おすすめの本です!

*1:これなしだと下手したら「オフチョベットしたテフをマブガッドしてリット」みたいなことになりかねない。。。

*2:現在の乳加工の姿は過去を反映しているとはいえ、過去の姿そのままとは限らないので。

*3:という印象があります

*4:そういう意味では原題の"MILK: A GLOBAL HISTORY"はちょっと誇大な気もする。。。

*5:と私が読み取ったもの

*6:なお、著者の約20年前の経験も含まれているため、本書の記述が今も正しいとは限らないことに注意。これは著者自身が「はじめに」でも述べています。

*7:著者が滞在したのは貧しい家庭のため燃料が不十分とのこと。

*8:著者の記述はあくまで一地方のラクダ祭りや、一家庭での見聞を記録したものです。私の記述では、情報を落とした結果、やや過度に一般化したものになってしまっており、これは本書の記述から飛躍してしまっているので、要注意。

*9:農耕と違って土地の私有の概念が希薄そうなイメージがあるのですが、とはいえこのように放牧地は一時的にではあるけどもある程度占有されるわけで、土地の所有が明文化されているのかなど気になります。

*10:p.xiii 曰く35年

*11:大学院で研究してた時期もあるのですが、だいたい机に向かってました。